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對酒當歌(さけにむかいてうたうべし) 曹操

人生幾何  人生は幾何(いくばく)ぞ

譬如朝露  譬(たとえ)ば朝露の如し

去日苦多  去りし日は苦(はなは)だ多し

慨当以慷  慨(なげ)きを以てはまさに慷(うれ)い

憂思難忘  憂(うれ)う思いは忘れ難し

何以解憂  何を以て憂いを解かん

唯有杜康  唯だ杜康(さけ) 有るのみ


酒を前にしたら歌うべきではないか


人生など幾ばくのものか

たとえば朝露のように儚い

過ぎてしまった日ははなはだ多く

まったく悲憤にくれるばかりで

憂(うれ)う思いから離れられない

何をもって憂いを解き放たんや

ただそれは杜康(さけ-酒)だけだ


三国志で有名な曹操の書いた詩です。酒飲みの詩のように感じてしまうかもしれませんが今自分が直面していることに対して真っ向から向き合う気概を感じる詩ではありませんか?

「酒を飲むのになぜ楽しまない?酒を飲みながら苦い顔をしてなんとなる?大いに楽しめ!」

単純明快、しかしながら学びある詩です。何事にも真剣に向き合うことの大切さを説いている詩です。

苦しみにはその苦に真剣に向き合い目を背けず、楽あるにはおおいに感謝する。我々は楽しい、嬉しい、有難い、というようなことにはえらく真っ正直ですが、しんどい、つらい、苦しい、といったことには呆れ返るほど目を背けます。苦に対して真剣に向き合った結果の楽を味わいましょう。目を背ければ難は去るなんてことはありません。

人間関係なんてそうでしょう?仲がいいからその人の良くない点があっても見過ごしますか?良くないと諫めずに素通りすることが友情でしょうか?例え嫌われても話し合うべきなのです。そこに私情を交えず道理をもって向き合う。大変神経と体力を消耗するかもしれませんがそこで得られるものは特別なものとなります。

苦しい思いを知らずして本当の楽の有難みなど分かりません。また逆も然り。何でも望めば手に入ることが容易い昨今だからこそ我々はこの詩の本意に向き合う必要があります。





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