当院がお世話になっている曽根造園様にお話をさせていただきました。造園の世界は大変厳しい世界です。身に付けるべき技術、鍛えるべき精神、その世界に身を置く人は多くの能力と高い精神性が求められます。
普段よりお話をさせてもらう機会があることから「一度社員一同にお話していただけませんか?」と有難いお声がけを戴きました。コロナ対策の為、社員の皆様がPCR検査を受けられ、障子も開け放たれた寒い本堂にわざわざお越しいただき、長々と拙いお話を聞いていただきました。
「白珪尚可磨」白珪(はっけい)とは石より磨きだされた宝石です。その貴重な宝石を更に磨け、という言葉です。これ以上最高なものはないと思うのではなく、更に磨くことを怠るなということです。
曽根造園様のホームページを開くと「山川磨(さんせんみがく)」という言葉が真っ先に出てきます。自然の妙景に更に磨きをかけ庭園として表現するという心を大切にされている曽根造園様。多くの若い職人さんを擁する活気ある造園屋さんのお仕事に養徳院は助けられています。
檀信徒の皆様が当院に来て「お庭に癒されました」とお声がけいただけることは職人の皆様あってのことなのです。
最近は造園の世界においても禅宗の修行道場と同じく中々続かない方が増えたそうです。時代と言えばその一言で片付けられるかもしれません。しかしながら、歴史がある仕事とはその歴史の中で培われた完成度の高さがあり、決してマニュアル通りに進むものではありません。また自然を相手ともなると身に付けるべきことは多岐にわたります。「よし!いい職人になれる。ここからもう一息!」というところでその道を去る人がいる、そのもどかしさを抱えている。今の世の中多くの職人さんのかかえる悩みであると思います。
これだけ覚えたから大丈夫だろう、これだけ経験したから大丈夫だろう。それを更に徹底して「まだまだ!」と精進することが「白珪尚可磨」です。日本の庭は多くの事を我々に気付かせてくれます。その素晴らしく、終わりなき造園の世界に身を置く自分に自信と憤志を持って精進してくださいとお話させていただきました。
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