迷いや悩みを吹き飛ばす言葉を一転語といいます。それに触れることが出来たのがWBC決勝前に大谷選手が放った一言でした。「憧れるのをやめましょう」この言葉は力強く、弱い自分に喝を入れてくれる言葉でした。
「あんな人になりたい」「こんな人生を送りたい」そのような思いは誰しも持っています。持ってなくてはならないものでしょう。しかし自分と向き合うことを曇らせる考え方でもあると思います。あんな人や、こんな人生が他人の人生を見て言っていないでしょうか?私は私であって他人とは違います。他人と同じにはなれない、むしろ自分はどうなんだと向き合うべきなのです。
大谷選手は称賛するに値する大人物だと思います。野球選手を志す人なら、あの人と同じように二刀流で、またメジャーでも愛されたいものです。必死で練習して、手に肉刺を作って、怪我を克服して、努力を惜しまなければあの人と同じようになれる。果たしてそうでしょうか?
体力の限界、身体能力の差、自分ではどうしようもない壁にぶち当たり絶望するときが必ず来ます。大谷選手であってもそう、逃れることが出来ない定めです。生まれて、病やけがをして、老いて、死ぬこのことこそが皆平等であるからです。あの大谷選手でもこれからは逃れられないのです。
そのことを我々に改めて気付かせてくれる素晴らしい言葉「憧れるのをやめましょう」ではないでしょうか?行き詰った時これほど力強い言葉はありません。今まで頑張ってきたことは本当に無駄なのか?野球という世界で行き詰まったらそれで終わりでしょうか?人生は終わりません。そこで養った精神力、技術、体力は自由自在に新しい世界でも活用できるはずです。我々の生活でもそう、今行き詰っている時は抱え込んでいるものからいらない憧れを捨てて自分が確かに持っている鍛えられた心を頼りに生きていくことが大切です。
砂金を採取するときは多くの砂泥を水で洗い流し、重みのある金が最後に残ります。私たちの中にある砂金は何なのか?日々を精進していきましょう。WBCに心を震わせたように人生に心を震わせましょう。
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